喜田教授らによる研究グループは、マウスも、我々が日常的におこなっているように、次に食べるものの好き嫌いに応じて、その前の食事を計画的に調節することを発見しました。
本研究では、マウスが、その後に与えられる食物に応じて、直前に食べる通常餌(いつも食べている餌)の量を調節できるかを調べました。空腹状態のマウスに通常餌を与えて、その後チーズやスイートチョコレートを与えることを毎日繰り返すと、通常餌を食べる量をセーブしてその後に与えられる食物を多く食べるようになりました。一方、通常餌の後にビターチョコレート(カカオ成分の多い甘くないチョコレート)を与えることを繰り返すと通常餌を多く食べるようになりました。以上の結果から、マウスはその後に食べる食物が好きか嫌いかに応じて、その前に食べる餌の量を計画的に調節することが判明しました。このような食べる量を計画的に調節する能力が破綻すると過食症などの摂食障害に繋がると考えられるため、この発見は我々が常日頃から行っている計画的食行動の機構解明のみならず、摂食障害の理解に繋がることが期待されます。
雑誌
Neuropsychopharmacology Reports
題名
Changes in food valence of regular diet depending on the experience of high and low preference food
著者
Xi Cheng, Kazuto Tsuruyama, Satoshi Kida
DOI
10.1002/npr2.12481
URL
https://doi.org/10.1002/npr2.12481
大学ホームページでの紹介
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20241028-1.html
日刊工業新聞(2024/10/30)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00729338