マウスが示す人さながらの計画的食事 ——マウスは次に食べる物が好物か苦手かを計算して食事する——を発見しました。

喜田聡プロジェクトマネージャーらによる研究グループは、マウスも、我々が日常的におこなっているように、次に食べるものの好き嫌いに応じて、その前の食事を計画的に調節することを発見しました。
本研究では、マウスが、その後に与えられる食物に応じて、直前に食べる通常餌(いつも食べている餌)の量を調節できるかを調べました。空腹状態のマウスに通常餌を与えて、その後チーズやスイートチョコレートを与えることを毎日繰り返すと、通常餌を食べる量をセーブしてその後に与えられる食物を多く食べるようになりました。一方、通常餌の後にビターチョコレート(カカオ成分の多い甘くないチョコレート)を与えることを繰り返すと通常餌を多く食べるようになりました。以上の結果から、マウスはその後に食べる食物が好きか嫌いかに応じて、その前に食べる餌の量を計画的に調節することが判明しました。このような食べる量を計画的に調節する能力が破綻すると過食症などの摂食障害に繋がると考えられるため、この発見は我々が常日頃から行っている計画的食行動の機構解明のみならず、摂食障害の理解に繋がることが期待されます。

 

論文情報:

雑誌
Neuropsychopharmacology Reports

題名
Changes in food valence of regular diet depending on the experience of high and low preference food

著者
Xi Cheng, Kazuto Tsuruyama, Satoshi Kida

DOI
10.1002/npr2.12481

URL
https://doi.org/10.1002/npr2.12481

 

大学ホームページでの紹介
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20241028-1.html

日刊工業新聞(2024/10/30)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00729338

 

 

 

講演情報 食の安全研究センターシンポジウム

 

喜田聡プロジェクトマネージャーが講演しました。

食の安全研究センターシンポジウム「機能性表示食品:制度、機能性評価と安全性確保~正しく知って正しく使う~」

2024年6月12日 東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール

演題「ELSIの観点から食品の機能と安全を再考する」

http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/information/240612.html

東京大学UTokyoGSC-Next 成果発表会

11月23日に行われた東京大学UTokyoGSC-Nextの成果発表会において、喜田聡プロジェクトマネージャーが研究指導した秋田高校3年生小野心美さんが「ヒトにおける食嗜好生変化を誘導する心理モデル課題の開発」のテーマで研究生成果を発表しました。堂々としたわかりやすい発表で、質疑応答もしっかり答えていました。遠距離での、また、受験勉強と両立しての研究活動となりましたが、小野さんの頑張りで克服できたと思います(喜田)。

「会いに行ける科学者フェス」にMS9展示ブースを出展

10月7-9日に秋葉原UDXで開催された「会いに行ける科学者フェス」に展示ブースを出展してムーンショットプロジェクト「食の心理メカニズムを司る食嗜好性変容制御基盤の解明」の説明と食嗜好性のアンケートを実施しました。藤原寿理課題推進者が作成した食嗜好性アンケート課題を来場された500名以上の方々を対象に実施しました。喜田聡プロジェクトマネージャーの研究室のメンバーもサポートしました。アンケート結果は今後のプロジェクトの進展に貢献します。アンケートに参加して頂いた皆様に心より御礼申し上げます。

プロジェクトHPを開設しました

プロジェクトに関するお知らせ、学術論文、学会発表等の情報を掲載していきます。